夜中の3時に目が覚めて、天井を見る時間が長くなった

夜3時7分、6畳の寝室

目が覚めると、部屋が暗い。

枕元のスマホを確かめる。午前3時12分。ため息が出る前に、もうため息をついている自分に気づく。こんな時間に起きることが、珍しくなくなった。いつからだろう。半年前は、こうじゃなかった気がする。

隣では家族が眠っている。寝息の音だけが聞こえる。規則正しくて、穏やかで、どこか遠い音だ。

天井を見る。何もない。白い、ただの天井だ。でもなぜかそこに目が向く。ぼんやりと天井のシミを数えたり、光の加減で浮かんでくる影の形を追ったりしながら、次に眠れる気配がするまで待つ。それが30分のこともあるし、気づいたら朝になっていることもある。


夜3時過ぎ、2LDKのマンションのリビング

夜中に目が覚めること自体は、珍しいことではない。

睡眠には「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」というサイクルがあり、一晩に4〜6回ほど繰り返される。浅い眠りのタイミングでは、ちょっとした刺激で目が覚めやすい。年齢とともに、深い眠り(ノンレム睡眠の徐波睡眠)が減り、全体的に眠りが浅くなる傾向がある。だから「夜中に目が覚めること」は、ある程度は自然な変化でもある。

ただ、「覚めること」と「覚めたあとに戻れないこと」は、別の話だ。

覚めても5分以内にまた眠れるなら、体はそれを「起きた」とほとんど認識しない。問題は、起きたあとに頭が回り始めるときだ。明日の仕事のこと、言いそびれたこと、何となく引っかかっているもの。そういうものが、夜中の3時にだけ妙にくっきり浮かんでくる。

昼間は気にならなかったことが、暗い部屋の中でだけ重くなる感覚を、知っている人は多いと思う。


静寂が怖いわけじゃない。

でも、家族が眠っているこの時間だけ、自分だけが違う場所にいるような感じがすることがある。隣の寝息が、どこか別世界から聞こえてくるような、妙な距離感。「自分だけ眠れていない」という事実が、夜中にはいっそう孤独に感じられる。

疲れているのはわかっている。昨日も今日も、それなりに動いた。体は重い。でも頭が静かにならない。そのちぐはぐさが、また天井を見つめることにつながる。

目が乾く。瞬きをする。また天井。

何かを考えようとしているわけでもない。ただ眠れないだけだ。それだけのことなのに、このまま朝まで起きていたらどうしよう、という焦りが静かに育っていく。焦ると覚醒度が上がる。覚醒度が上がると、ますます眠れなくなる。この循環に入り込むと、夜中の3時が4時になり、5時になる。


「夜中に目が覚める」という悩みを、睡眠の専門家は「中途覚醒」と呼ぶ。

原因はさまざまで、ストレス、アルコール、加齢、体温調節の乱れ、光への過剰反応などが挙げられる。特に夜中の2〜4時台に起きやすいのは、コルチゾールというホルモンの分泌が早朝に向けて増え始めるタイミングと関係していることもある。体が「そろそろ目覚める準備」を始めるのが、思ったより早い時間帯なのだ。

加えて、メラトニンという「眠りを促すホルモン」の分泌量は、30代以降から徐々に減少していくとされている。若いころは意識しなくても眠れていたのが、ある年代を超えてから「眠る」ことに体力がいるようになる。それは怠慢でも、弱さでもない。ただ、体の変化だ。


夜中に起きるたびに、「またか」と思う自分がいる。

その「またか」が少し重くなってきたとき、何かを変える必要があるかもしれない。眠れない夜を受け入れるのと、眠れるための工夫をするのは、別のことだ。天井を見つめながら、そう考えている。

朝になれば動ける。でも、今夜もきちんと眠れたら、もう少し軽く朝を迎えられるのに、とも思う。