布団に入って1時間後も、まだ画面の光の中にいる
布団に入ったのは11時だった。
でも今は12時を過ぎていて、まだスマホを持っている。特に何かを調べているわけではない。見たいものがあるわけでもない。ただ、置けない。
タイムラインを流す。誰かの投稿を読む。面白くはないけれど、流し続ける。動画が始まったら、最後まで見ないのに次の動画に移る。記事を開いて、途中で閉じる。また別の記事を開く。
「眠れないから見ている」のか、「見ているから眠れない」のか、どちらが先なのかよくわからなくなってきた。
スマホのブルーライトが睡眠に悪い、という話はよく聞く。
これは事実で、ブルーライトには「メラトニンの分泌を抑制する」という作用がある。メラトニンは「眠りを促すホルモン」で、暗くなるにつれて脳から分泌され始め、体に「そろそろ眠る時間だ」というシグナルを送る。ブルーライトを含む強い光を浴びると、脳がそのシグナルを後ろ倒しにしてしまう。
だから「寝る1〜2時間前からスマホを見ない」というのは、正しい助言だ。
ただ、問題はそこだけではない気がしている。
寝る前にスマホをやめられない理由が「光」だけなら、もう少し簡単にやめられるはずだ。でも実際には、布団に入ってからも手放せない感覚がある。光の前に、「スマホを置いたら何が残るか」という問題がある。
置いたら、静寂だ。
布団の中の静けさは、ときに思考の増幅器になる。明日のこと、今日言いそびれたこと、ぼんやりとした不安。昼間は気にならなかったことが、何も入力されない夜の頭の中で大きくなる。スマホを見ている間は、そこに入り込む余地がない。スクロールし続けることは、考えないでいるための手段でもある。
だから、眠れないからスマホを見ているのではなく、考えたくないからスマホを見ていて、結果として眠れなくなっている、というルートも実際には存在する。
「なぜ布団に入ってもスマホをやめられないのか」を少し分解してみると、自分の睡眠の何が問題なのかが見えてきたりする。光の問題なのか、考えすぎる頭の問題なのか、それとも両方なのか。
スマホを置いてみると、最初は落ち着かない。
思考が動き始める。今日の残タスク、明日の予定、言われた一言。それが収まるまで、しばらくかかる。でも、そこを通り過ぎると体が少し緩んでくる感じがすることもある。スマホがある間は、その「緩む」に到達しない。ずっと何かを受け取り続けているから。
布団に入ってから1時間後もスマホを持っている自分を、責める必要はないと思う。でも、「見たいから見ている」のか「置けないから見ている」のかを、一度確かめてみる価値はあるかもしれない。
もし「置けない」の方に近いなら、それは光より先に、体がうまく「オフ」に切り替えられていないサインかもしれない。